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コンゴ民主共和国体験記
2023年5月から約2か月間コンゴ民主共和国の首都キンシャサに技術者として派遣されました。今回コンゴ(民)へは2度目の入国となり、日本大使公邸の造成工事に関わる業務に従事しました。2か月の滞在期間中、基本的には宿舎(ホテル)、工事現場、日本大使館事務所という3か所間の動きでしたが、期間中の現地の様子を以下報告いたします。
在コンゴ民主共和国日本大使館 事務所の全景:UTEXという多種の業種が入居している敷地内にあります。日本大使館事務所は平屋で広場の前にあります。大使館に車で入るには車の下まで検査されます。歩いて入館する場合は複数の鉄扉を許可を受けて通過しなければなりません。その後本館に入るのには通行証、また受付で入館の説明が必要となるなど厳しいセキュリティーチェックが行われています。大使館内部は白を基調としてきれいで快適な空間です。空調もよく効いていました。
宿泊したホテルの駐車場:ホテルの敷地は広く数棟の建物があります。複数の宿泊棟以外にアスレチックス棟、食堂棟、プールサイドに屋外食堂棟等があります。昼夜警備が配備されています。この駐車場に入るには警備職員の許可が必要で 外の道路で一時停車して警笛を鳴らします。すると内側からのぞかれ鉄扉を開けてくれます。ナンバープレートから推察すると諸外国の外交関係者もよく宿泊しているようです。朝はその方たちのお迎えの車がたくさん来ます。安全のため道路では下車せずこの駐車場で下車します。この駐車場から出て事務所に着くまでは運転手は手元のボタンで車のドアーロックをします。公道では停車すると物売りがたくさん寄ってきて危険なので仕方がありません。車内で蚊音やその姿を見ると運転手と一緒になって退治します。
プールサイド屋外食堂棟からみたホテルのプール:いつも整備されていてきれいなプールです。宿泊客は国際的で、プールでは優雅に泳ぐ人も見られます。それを見ながらの土日の朝食は異国情緒満点です。食事中に野生の小鳥が囀りながらテーブルや椅子などを飛び回っています。ホテル職員は愛想がよく「ボンジュール」といえば笑顔で「ボンジュール」と返事をしてくれます。週に何度かプール清掃が行われます。欧米人はコースに沿ってプールを何度も往復して泳ぎますが、コンゴの人たちの場合はほぼ水泳教室的でプールの縁につかまって練習しています。
ホテルの朝食:朝7時からオープンしています。事務所への出勤が7時半なので6時45分にレストランに行きビュッフェスタイルで取り揃えなくてはなりません。1か月も経つとメニューに飽きがきて、バナナとヨーグルトとパンなどをリュックに入れ昼に事務所で食べていました。コーヒーだけ飲んで待たせておいたタクシーで出勤します。「ボテ、ボテ」と現地の言葉で朝の挨拶をして車に乗り込みます。私のようにこのホテルに65泊する客も多くないでしょうから、メニューには文句を言うことはできません。コーヒー以外に紅茶やミルクを選択できますし、お代わりも自由です。朝食の場所はレストラン棟の1階とプールサイドのレストランの2階にあり、ホテルの都合でその場所は決まります。レストランの裏でバスケットとテニスができるようです。
ホテルの室内:キッチンと冷蔵庫、電子レンジ、電気ポットがついています。調理器具は一応そろっています。応接セットとテレビ、飾り棚、姿見鏡が備わっています。靴箱はなく基本的に土足での使用を想定しているようですが、私は飛行機の中で提供されたスリッパを室内で使用していました。床はタイル張りで清潔です。1か月に一回室内の燻蒸がありました。夕刻部屋に帰ると薬のにおいがするのですが、消毒だと思ったら、床掃除に使用する洗剤の匂いだそうです。
ホテルの寝室:天蓋がついていてカーテンがベットの周りを覆っています。セミダブルベットで寝心地は良好です。スーツケース置き場、クローク、引き出し家具が設置されています。ただし照明が暗いのと窓の外の塀で室内は昼間でも薄暗いのは残念でした。天蓋のカーテンはマラリヤ蚊よけのためで、住宅の寝室にも普通に設備されているようです。(ただしすべての住宅に備え付けられているかは不明です)ベットメーキングはとても上手でした。お陰で快眠できました。しかし土日の夕方からホテルの隣のレストランのライブが聞こえてきます。到着当初は「アフリカだなあ―― エキゾチックだなあー」と聞いていましたが 同じ曲を繰り返されると・・・・最後はさすがに耳障りなものになりました。
ホテルの水回り:広々として広さは申し分ありません。清潔感があり清掃もとても行き届いていました。リネンサービスも十分です。何れの国でも言えることですが、洗濯物を干す場所がないのには困ってしまいます。浴室のカーテンレールやたまにフックがついているところがありますが、乾かすのには毎度苦労します。今回はコンゴ故、各部屋にクーラーが設置されていたので居間の室温を下げて洗濯物を乾かしました。寝室が別にあったので可能でした。(冷房は原理的に除湿効果があります。)このホテルの開き建具はすべて床や扉枠に擦ってしまって開閉が困難でした。風呂の水は紅茶色でした。
道路:数少ないメイン道路は片側2または3車線でまあまあ整備されていました。幹線道路との交差点は数が少ないが立体交差になっています。(大使館関係者の話だと立体交差の工事は中国だそうです。)歩道も幅広く設置されています。ただし時間帯によりこれらの道路は大渋滞になります。日本車がけっこう走っています。トヨタ、ホンダ、三菱、マツダ、日産などですがトヨタが断然多い様です。タクシーはトヨタシエンタで「これでもか」というぐらい「ボコボコ」状態でしたが元気に走っていました。
枝道:幹線道路以外はほとんど未舗装で穴ぼこだらけです。場所によっては晴れていても水たまりがあります。写真の中央に見えるのは排水溝だそうです。路端にはこのような店舗(?)がいたるところに開店しています。街路樹を見るとアフリカの雰囲気が感じられます。
道端の花:道端に花が咲いていました。2、3日経つと枯れてしまいますが、後からまた咲き始めていました。
国立技術研究所:コンクリートの破壊試験場です。キンシャサの中心部からタクシーで30分程離れています。検査してもらうものを朝一番で持ち込んで昼過ぎに証明書を取得できました。国の検査機関なのでなかなかせかすことはできませんでした。試験は20分ぐらいでした。書類はアナログで作成していましたが、いざ書類をもらう段になったら「今、証明書をデジタルにしてプリンターで出力してお渡しします」といわれて2時間待ちました。
コンゴ民主共和国では、一人で徒歩での外出は控えるように指示されていました。したがって、スーパーマーケットに買い出しに行くときは 出勤日の帰り道に雇っている運転手に案内してもらい用事を済ませました。スーパーマーケットでは物資は豊富で棚いっぱいに陳列されています。デリカテッセンやサンドイッチなども販売されていました。ドルの現金支払いもクレジット支払いもできます。ただしドルの支払いの釣銭は黙っていると現地通貨になるので、ドルでの釣銭を要求することをお勧めします。
街中では欧米人はほとんど見かけません。アジア系(中国人や韓国人)もほぼ見かけません。またアラブ系も見ません。歴史的な観光施設がないことが原因かもしれません。通勤していた街中には建設工事現場はそれほど多くなく、どの現場もいわゆるコンゴスピードというゆっくりしたペースで仕事をしているようでした。
キンシャサでは5月ごろから10月ごろまで乾季だそうです。滞在期間中は昼間雨は降りませんでした。夜半に2、3度降雨がありました。気温もそれほど高くなりません。昼間の太陽が真上に来る頃はさすがに30℃を超えて暑いですが、朝夕夜はむしろ涼しくてクーラーは不要になります。毛布を使う人もいるようです。