公益財団法人JKAの平成27年度補助事業
として「開発途上国における防災技術分野の
人材育成と国際交流の推進」を実施しました。
日本外交協会では、2009年から2015年までに31台の消防・緊急車両をミャンマーへ贈ってきました。ミャンマーにおける車両のよりよい活用と防災力向上に向けて、ラオスと同様に防災技術指導の支援に踏み切りました。日本人技術者・専門家3名をミャンマーに派遣し、消防車・車両一般等の構造理解・メンテナンスおよび消防技術に関する人材育成プロジェクトを実施しました。現地消防職員60名が研修を受け、その約8割が地方からの参加者でした。
総務省消防庁の資料によると、ミャンマーは経済発展や都市化が進んだことにより、国民の安全を確保し都市のインフラを火災や自然災害から守るために防災能力強化に非常に高い関心がありました。今回の研修では、実例を用いた講義が必要だと考え、2月15日、「東日本大震災派遣隊活動」の講義をコース共通で行ない、大規模災害時の出動について、実際に現場に工作隊を派遣した整備体制などの事例を紹介しました。また、地方の消防署を視察し、東京消防庁より寄贈を受けたポンプ車の点検・指導を行い、現地の消防隊員からの多くの質問に答えました。
2月18日、ヤンゴンのミャンマー消防局にて研修の成果を示す公開デモンストレーションを実施しました。来賓および関係者・メディア等総勢50名以上が参列し、ミャンマー消防局副局長ミャッ・トゥ氏、在ミャンマー日本国大使館松尾秀明参事官、同大使館前田敬一等書記官がご臨席されました。デモンストレーションはメンテナンスコース参加者による車両の点検から始まり、続いて消防防災コース参加者が車両に乗って出動、梯子車も利用して屋上から要救助者を救出するとともに、三連梯子を使って2階に侵入し、煙の中を進みながら要救助者を探す模範演技を披露しました。
同じ分野で活躍する専門家および研修生がともに研修に取り組むことで、相互理解を深め、民間レベルでの国際交流を進めることができました。研修生からは、「同様の研修をまた行なってほしい。」「ミャンマーの実情に合った研修内容だった。」との声が多数寄せられています。また、講師からは、「研修生が真剣に受講する姿を見て、学ぶ意欲が伝わってきた。貴重な経験となった。」とのコメントをいただきました。
2016年2月6日~21日ミャンマー消防局において、東京消防庁3名にご協力頂き、コースⅠ「消防技術」およびコースⅡ「消防車両の構造理解・メンテナンス」に分かれて計60名の現地消防職員に人材育成プロジェクトを実施致しました。研修内容は、コースⅠではロープや梯子を利用した救助方法、ポンプ車運用方法等、コースⅡではシャーシの基本構造やポンプの整備方法等でした。同じ分野で活躍する専門家及び研修生が交流を通じて相互理解を深め、民間レベルでの国際交流を実現することができました。日本外交協会では、2009年から2015年までの間に31台の消防・緊急車両等をミャンマーへ寄贈していますが、そのうち9台を東京消防庁より供出いただいたことから、それら車両の取扱いに熟練した職員の方々に今回指導をしていただきました。なお、東京消防庁では2015年に消防車・救急車計8台を同国エヤーワディ地域のパテイン郡等へ贈った実績があるとのことです。